結果主義よりもプロセス重視
先日、車のエンジンオイル交換のためにイエローハットに行きました。待っている間に待合所にあった本に目がとまりました。清掃を基本にした経営を行って、今や従業員1,300人、年商約600億円の自動車部品の販売会社の創業者である鍵山秀三郎氏の講演集です。
(1) 率先垂範
鍵山氏は会社の中、会社の周辺、道路、トイレをきれいにし、お客様を訪問する際も、きれいな車で訪問することにしていました。社員はなかなか掃除に関心を示さなくて、最初の10年間は社長ひとりが掃除をやっている状況でした。10年を越すくらいからぼつぼつと社員の中から参加者が現れて、まず車がきれいになり交通事故が起きなくなりました。さらに5年たって道路の掃除に、また、ぼつぼつと参加者が現れて、皆が参加するようになったのは創業後25年経ってからといいます。
私のことに置き換えてみても、まず10年を独りで続けたというのは驚くべきことです。社長が半年、もしくは1年やっても、社員がやらなければ、「いつまで率先垂範しても、社員がやらないならしょうがない。」といって諦めてしまうでしょう。しかし、鍵山氏はまずは10年間も独りで、また、社員にも強制せずに続けたのです。
鍵山氏の例から思うに、率先垂範を高々1年くらいで諦めてはいけないのです。残業時間を減らすための週1回のノー残業ディー、社員の改善意欲を引き出す改善提案活動やQCサークル活動、清掃活動などを、社員がついて来ないからといって、1年や2年くらいで止めてはいけないのです。せめて10年やり続けなければ社内には定着しないということなのでしょう。社長にはたいへんなエネルギーが必要なことがわかります。社風つくりは10年単位の、確固とした信念にもとづいた、こうしたコツコツとした活動の積み重ねでしか成し得ないのです。
やめない社員研究所 原川 修一