モチベーションマネージメント〔4〕

結果主義よりもプロセス重視

(2) 心が荒(すさ)んでしまわないように

鍵山氏は、「今は、何かというと成果主義、結果主義が横行している。しかし、結果主義は、“いつも比べる世界”で、多いとか少ないとか、勝ったか負けたかの世界で、心のやすらぎが全くなく、例え、仮に1位になったにしても、いつ落ちるかわからない、いつ失うかわからないという不安がある世界である。年中“こころの休まる”ヒマがない。

特に私のように人と争ったら必ず負けるというのは、自分でよく知っているので、争わなくてもいい世界というものを追求してきた。だから、結果主義よりも、プロセス主義を重視している。」とおっしゃっています。

最近の皆さんの家庭では夫婦喧嘩が多くはないですか。最近、親子喧嘩が多くはないですか。

会社や仕事のプレッシャーを帰宅時に断ち切れないままに、家庭に持ち込みつつ、つい、なんら仕事に関係のない家族に八つ当たりをしてしまうことはありませんか。

本来ならば、会社は社員に、仕事を一生懸命にやってもらいたくて始めた成果主義は、一生懸命やって結果の出た人をそれなりに評価しようと思って始めた制度です。しかしながら、結果ばかりが強調され過ぎると、その意図はないにしても家族の絆まで断ち切っているのかもしれません。

更に、鍵山氏は、「結果主義は途中を無視しがちである。即ち、手段や方法を選ばないで、極端に言うと、結果さえよければ何をやってもよいということになり、やっていることに誠意が感じられない。」 「最近は、有名な立派な会社が、結果を出すためには手段を選ばす、人を騙すようなことを平気でやっている。人間は最初のうちは、人を騙すと、心が荒んで、騙したという呵責の念にかられるものだが、だんだん慣れてきてしまうことは恐ろしいことだ。」と言われています。そこで、プロセス主義をとるべきとの思いを強くされています。

おそらく、鍵山氏のプロセス主義の裏側には、「プロセスがよければ必ず成果が出る。」という信念があるからだと思います。長い目で見たときにプロセスが良くなければ、成果主義で出たその結果は、その場限りのものでしかないでしょう。このような視点も入れて、社員の人事評価はどうあるべきかを考える必要があります。

やめない社員研究所   原川 修一